健康の良き相談相手として、 一人ひとりの「かかりつけ医」を目指し、 皆さまの健康増進に努めていきたいと考えております。
甲状腺は、喉仏(のどぼとけ)のすぐ下に位置し、気管を取り巻く小さな臓器です。成長や新陳代謝を促すホルモンを分泌しており、このホルモンの異常が起こると、体にさまざまな症状を引き起こします。通常、甲状腺を触れてもその存在を感じることはありませんが、病気になると腫れを感じることがあります。
甲状腺ホルモンは、成長、代謝、循環、そして生殖をコントロールする重要な役割を担っています。心拍数や血液量の調節、脂肪の合成・分解、熱産生の促進、腸の運動の刺激、骨代謝の促進など、さまざまな機能に関わっています。
甲状腺ホルモンが過剰な場合は、体重減少、動悸、発汗、神経過敏、手の震えなどの症状が現れます。逆にホルモンが少なすぎると、疲れやすさ、太りやすさ、寒がり、むくみなどの症状が見られます。
甲状腺腫瘍はほとんどの場合、無症状ですが、4cmを超える大きなものになると、頸部の腫れや嚥下時の違和感が現れることがあります。悪性の場合でも自覚症状が少ないため、進行すると声枯れや嚥下障害が見られることがあります。
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで中毒症状を引き起こします。動悸や手の震え、眼球突出などが特徴です。自己免疫による異常が原因で発症します。
免疫が甲状腺を攻撃することで甲状腺ホルモンの分泌が減少し、甲状腺機能低下症を引き起こします。女性に多く、寒がりや体重増加、むくみなどが症状として現れます。
良性のものもありますが、悪性腫瘍の場合、手術が必要となることがあります。早期の検査と診断が重要です。
甲状腺の病気は、血液検査や超音波検査で診断できます。バセドウ病の場合、甲状腺ホルモンの量やTSH受容体抗体を調べます。橋本病では抗TPO抗体や抗Tg抗体の測定を行います。 治療方法は病気や症状に応じて異なりますが、薬物療法、放射性ヨード内服療法、手術などが選択肢として挙げられます。患者さまの状態やライフスタイルに合わせた治療を行い、専門医が丁寧に対応します。 甲状腺の病気は頻度が高く、放置すると生活に支障をきたす可能性がありますので、早期に検査を受けることが重要です。